イタリアにおけるバイク関連の法的制度
バイクの種類、呼び名
・Motociclo/Motocicli
一般的な(原付でない)バイクのこと。
・Ciclomotore/Ciclomotori
原付。スクーターやモペッド。
法的な区分ではMotoveicoloという呼び方もあります(上2つとの関係はよくわからず)。
ただ、一般的(特に会話中)には、全部引っくるめて"Moto"と略します。
法定速度と通行可否
イタリアの道路にはいくつかの区分があり、法定速度(最高速度)とその道路に進入できるバイクの種類は区分によって異なります。
Limiti di velocità in Italia - Wikipedia
道路区分 | 法定速度 | 通行可な最小排気量 |
---|---|---|
Autostrada (高速道路) | 130 km/h | 150cc |
Strada extraurbana principale(第一級幹線道路) | 110 km/h | 150cc(※) |
Strada extraurbana secondaria(第二級幹線道路) | 90 km/h | |
Strada urbana(幹線道路) | 50 km/h | |
(道路区分に関わらず原付の場合) | 45 km/h |
※サイドカー付きは250cc
※日本語名は正式ではありません
法定速度については道路の区分によって細かく分かれています(この下にもさらに低速な小規模の道路が定義されています)。
原付の法定速度は45km/hですが、日本の30km/hと比べると比較的現実的な緩めの設定だといえます。
通行可能な最小排気量については、「高速道路は150ccから」と覚えておけば問題ないでしょう。
ここで表を見返すと疑問に思ってしまうかもしれませんが、どうやらStrada extraurbana principale(第一級幹線道路)はAutostrada(高速道路)と似たようなものらしいです。
その証拠に、進入口に掲げられている道路標識は以下のように色違いになっており、道路を走っている限りでは同じ高速道路のカテゴリに見えます。進入できない車両の区分も図示されているので、間違って入ってしまうこともなさそうです。
Autostrada
Strada extraurbana principale
おまけ:
現状は「高速道路は150ccから」なのですが、この排気量制限を125ccに引き下げる動きがあります。日本の道路交通法に対応するCodice della Stradaという法律を改定するという案です。2019年夏に委員会を通過したという情報はありますが、その後の音沙汰がない(コロナのせい?)ため、インターネット上でも一体いつから施行されるのかというQ&Aが見受けられますが、現状はまだ未定だと思われます。
参考:
Cilindrata minima moto in autostrada: norme e limiti
免許制度
イタリアはEU加盟国なので運転免許証も基本的に欧州経済領域(EEA)の定める共通規格に準じます。
バイク(モペッド、オートバイ)の免許種類(上記Wikipedia記事の再掲)
免種 | 説明 |
---|---|
AM | 設計最大速度が45 km/h以下かつ排気量が50 cc以下である2輪もしくは3輪であるもの。 |
A1 | 排気量が125 cc以下かつ出力が11 kW以下である自動2輪。出力が15 kWである自動3輪。 |
A2 | 出力が35 kW以下かつパワーウェイトレシオが0.2 kW/kg以下かつ車両から2倍以上の出力を供給されていない自動2輪であるもの |
A | A1に属さないすべての自動2輪もしくは自動3輪であるもの。経験2年未満の者は、25 kW以下かつ0.16 kW/kg以下に限る。 |
日本人がびっくりする点は以下の点でしょう(これもWikipedia内の情報)
・AM(原付)免許は14歳で取得できる。
・B(普通自動車)免許所持者であればA1区分まで運転できる。
・A2免許の制限が排気量ではなく出力(馬力)。
国内(およびヨーロッパ)市場のバイクラインナップもこの免許区分を意識した顔ぶれになっています(A2免許で乗れる300ccモデルなど)
ちなみに現実的に日本人がイタリアの観光地などでバイクを運転する場合は国際運転免許証を使用することになることになると思いますが、この場合の排気量・出力制限はありません(国際運転免許証の二輪車の区分が一つしかないため)。
移住者の日本人の場合、1年経過後は国際運転免許証が失効するため、イタリアの免許証への書き換え手続きをする必要があります(下記の過去記事参照)。
(ここからは現在も調査中なのでやや適当)
保険制度
イタリアの自動車・バイク所有者に対してはRCA(Responsabilità civile autoveicoli)という法的義務?があり、万一の事故の際に損害を補償する自動車保険に最低一つ加入することが求められます。保険会社が提供できる保険内容もこの規約によって公正にコントロールされています。
ということで、日本同様に代理店やネット経由で自分の車両の損害を補償するバイク保険に加入する必要があります。保険の内容については日本とほぼ同じで、車種や年齢、等級によって価格が決まり、付帯する保障を自分で取捨選択して1年単位で契約します。複数の保険会社で価格を比較できる便利なWebサイトもあります。
日本でいう自賠責保険のようなものはない模様です。
参考:
Responsabilità civile autoveicoli - Wikipedia
保険価格の例(27歳男性(国籍:日本)、新規契約、250cc新車)
車検制度
車検については初回登録から4年後に義務が発生します。それ以降は2年おき(一部の旧車などは1年おきの場合もある)。その代わり排気量によらずすべてが対象?
そもそも4年以内にバイクを買い換えてしまうことも結構ありそうです。一応日本の車検ほどお金がかかったり、待たされたりすることはないようです。
参考:
Revisione moto: ogni quanto si fa la revisione, scadenze, costo e novità - News - Moto.it
おまけ イタリア語を学ぼう
motociclo: バイク
autostrada: 高速道路
due ruote: 二輪
cilindrata: 排気量
patente di guida: 運転免許証
assicurazione: 保険
revisione: (ここでは)車検